2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指している富谷市では、日常生活や経済活動において、どうしても排出されるCO2等を削減するため、さまざまな取り組みを推進しています。今回、そんな取り組みの一つとしてご紹介するのは、毎月1日に発行している広報紙「広報とみや」に導入した「水なし印刷」+「カーボン・オフセット」です。これは、自治体広報紙では東北初、全国3例目となる取り組みです。
市政情報満載の「広報とみや」は不可欠な広報ツール
富谷市が発行している「広報とみや」には、市が行っている行事やイベントのお知らせのほか、暮らしに関わるさまざまな事業の紹介など、地域での安全・安心、快適な暮らしを支える市政情報が掲載されています。発行は毎月1日で、毎号約2万1,000部が印刷され、市内のご家庭へ全戸配布されます。編集・発行を担当している市長公室の原さんは、「広報紙は情報を伝えるだけでなく、地域づくりに市民の理解や参加を促すきっかけづくりに欠かせないツールの一つ」と言います。
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掲載記事には市民参加の機会を必ず作り、伺った意見を写真とともに掲載しています(2023年11月号特集より)。
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各部署から集まってきた市政情報をページに見やすくレイアウトし、文字などの間違いをチェックする校正作業を経て印刷工程へ。
2023年12月号から導入される印刷方式
「水なし印刷」+「カーボン・オフセット」とは?
日常生活で使われる多くの印刷物は、「オフセット印刷」という方式で印刷されています。通常のオフセット印刷では、印刷工程で発生する廃液に、環境に負荷を与える有害物質が含まれてしまうことから、広報とみやでは14年も前から廃液を殆ど発生させない「水なし印刷」を採用してきました。
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印刷の行程で廃液を排出しない「水なし印刷」は、環境に配慮した印刷方式。
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印刷インキも廃食用油などをリサイクルした再生油でつくられたインキを使用しています。
この環境に配慮した印刷方式の「水なし印刷」に加え、今回、新たに導入される「カーボン・オフセット」。その仕組みを簡単に紹介しましょう。
カーボン・オフセットとは、自分たちが出したCO2などの温室効果ガス排出量のうち、減らす努力をしてもどうしても減らせない排出量の全部または一部を、他の場所で削減できた排出量や吸収量などで埋め合わせ(オフセット)することをいいます。
埋め合わせ(オフセット)できる仕組みとして活用するのは、国が創設している「J-クレジット制度」です。これは、例えば省エネルギー設備の導入でCO2などの排出を削減できたり、適切な森林管理によってCO2などを吸収できたりした量を「クレジット」として国が認証する制度です。
富谷市はその制度を利用して、広報とみやによるCO2などの排出量に相当するクレジットを購入し、排出量を相殺します。クレジットを購入することは、排出量をオフセットするだけでなく、排出を抑制する活動へ資金を投資し、活動を支援することにも繋がります。
富谷市は今回のような取り組みを進めることで、2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の実質ゼロの達成を目指していきます。