食品ロス削減を通してゼロカーボンにも貢献し、誰もが安心して暮らせる地域社会を目指す

生活協同組合連合会 コープ東北サンネット事業連合コープフードバンク

中村礼子事務局長

東北の豊かな暮らしを支えているコープ東北。食品ロスを減らして、食べ物に困っている人々をサポートし、みんなが安心して暮らせる社会をつくろうと、富谷市ひより台に「コープフードバンク」を2012年4月に設立し、企業や団体から余った食べ物などをいただき、支援を必要とする人々へ提供しています。
食べ物を多く作りすぎてしまった時や、食べ残しを捨ててしまう時、余分な二酸化炭素も発生してしまいます。今回は、食品ロスを減らしながらゼロカーボンにも挑戦している、コープフードバンク事務局長・中村さんにお話を伺いました。

食品ロス削減はゼロカーボンにもつながる!
より良い社会づくりに挑むコープフードバンク

食品ロスとは、食べ残しや売れ残りなど、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。コープフードバンクでは、東北のさまざまな企業・団体からいただいた食べ物などを、支援を必要とする施設・団体へ無償提供し、食品ロスを減らそうとしています。
「日本の食品ロスは、年間522万t(※)。皆さんが毎日、お茶碗一杯分のご飯を捨てしまっていることになります」と中村さん。捨てられた食べ物はごみとして燃やされ、地球を温めるガス・二酸化炭素もたくさん排出してしまいます。地球の環境を守るためにも“もったいない”食品ロスを減らす活動は、とても大切なのだと教えてくれました。

※農林水産省及び環境省「令和2年度推計」より

  • 包装に傷がついてしまったなどの理由で、販売できない食べ物などを分けていただく。

    包装に傷がついてしまったなどの理由で、販売できない食べ物などを分けていただく。

  • 食べ物を分けてくれる企業・団体は152団体。

    食べ物を分けてくれる企業・団体は152団体。

年間100tもの食べ物などをいただくそうで、倉庫内にはレトルト食品や飲み物などの他、ティッシュや紙おむつといった雑貨品も並びます。「たくさんの品物をいただき、本当にありがたいです」。集まった品物は社会福祉協議会や児童養護施設、母子支援施設など、東北6県の施設・団体に提供されます。
「地域の皆さんと協力し支援の輪を広げて、食品ロスを減らし、より良い地域社会をつくっていきたいです」。

環境に気配りしながら、
支援を必要とする東北の人々へ食べ物を届ける

自社のネットワークを活用して東北全体をサポートできるのが、コープフードバンクの特徴です。
「食べ物の受け渡しは、コープフードバンクの事務所で行っています。遠方でこちらまで来ることが難しい場合、みやぎ生協配送センターが遠方の配送センターまで物品を運ぶ際、一緒にフードバンクの品々も運んでもらい、施設の方々にはそちらへ受け取りに来ていただきます。宅配事業と協力することで配送時に出る二酸化炭素を減らし、環境に配慮しています」。
フードバンク利用者からの「ありがとう」の声が、何よりも励みになるという中村さん。冷凍庫に保管してあるアイスを見つめ、「夏にアイスをお届けすると、子どもたちがとても喜んでくれるんですよ」と、微笑みます。

食品ロスのない未来は、地球にも優しい!

食品ロスの対策は、身近なところからすぐにはじめることができます。
「例えば賞味期限は消費期限と違い、期日を過ぎたら食べられなくなるというわけではありません。まずは中身を見て、食べられるかどうかチェックしてみましょう」。
一人ひとりのほんのちょっとした気配りが大切だとアドバイスしてくれた中村さん。食べ物のほとんどを輸入している日本は、食品ロスや地球温暖化の問題に対して、関心を持つことが大切なのだと優しく教えてくれます。
「最近は地球温暖化の影響で、魚の獲れる量が減ったり、豪雨による農作物の被害も出ていますので、食品ロスを減らしてゼロカーボンにつなげることは、とても大切だと感じます。コープ全体でも節電やエコ運転を行うなど、環境面に気を配っています」。

コープフードバンクを立ち上げて10年。最初は宮城県内のみで行っていた活動も、いつの間にか東北全体にまで広がりました。
「時間はかかるかもしれませんが、いずれは食品ロスや地球温暖化の問題がなくなる、幸せな世の中になってほしいです」。日本の明るい未来を願い、顔を輝かせながら話してくれました。