SDGsからカーボンニュートラルへ。研修事業を通してアクションにつながる学びを目指す

一般社団法人マジカル・ステップ

代表理事 川田マキコ

ITトレーナーを出発点に、一貫して人材教育、育成という分野に携わってきた川田マキコさん。仕事を通してSDGsを広める活動をしている中で、頻繁に目にするようになったカーボンニュートラルに着目。SDGsアクションにつながるような学びをめざし、地域に貢献したいと取り組みを始めた川田さんにお話を伺いました。

コロナ禍を転機にステップアップ!
富谷を拠点に起業で未来を見据える

キャリアコンサルタントや産業カウンセラーなど多くの資格を持ち、フリーランスという立場で、各地の自治体や企業、大学などの研修事業を担ってきた川田さん。2022年4月に富谷塾の塾生となり、6月に起業して社団法人マジカル・ステップの代表理事に就任。9月には富谷市まちづくり産業交流プラザとみぷらのシェアオフィスに入居し、富谷市を拠点に事業活動を新たにスタートさせたところです。

  • カードゲームというツールを活用して、カーボンニュートラルを楽しく分かりやすく学べる機会を提供したいという川田マキコさん。

    カードゲームというツールを活用して、カーボンニュートラルを楽しく分かりやすく学べる機会を提供したいという川田マキコさん。

  • カードゲームを通してカーボンニュートラルについて考える、体験会を開催。

    カードゲームを通してカーボンニュートラルについて考える、体験会を開催。

川田さんが富谷市に着目したのは、2019年9月に開催されたアースデイというイベントでした。その頃、SDGsを広める活動をしていたため、関連があると思い足を運んだのだそうです。それが富谷を最初に訪れる機会となりました。
以来、富谷市の取り組みを「とみぷら」のホームページなどで追い続け、「富谷はすごい」と思っていたそうです。

富谷のどんなところを魅力に感じているか質問してみると、「まず、規模感」と言います。富谷市は個人が活躍しやすく、「スピード感をもっていろんなチャレンジができる」と川田さん。そして、「市の事業が魅力的」とも言います。ゼロカーボンの取り組みもその一つ。「水素の実証事業をやって、ゼロカーボンシティ宣言をして、2022年7月には世界気候エネルギー首長誓約(世界首長誓約)に署名したのを新聞で見ました。それで、起業するなら先進的な取り組みをしている富谷で、と決めていた」そうです。

SDGsからカーボンニュートラルにフォーカスイン
培ったトレーニングスキルで地域の暮らしに貢献したい

川田さんがSDGsに出会ったのは、2018年頃のこと。キャリア教育を担当している大学で、SDGsを推進することになって、川田さんもSDGsが学べるセミナーを独自に企画するなどして、積極的に活動をしていました。
そして2021年あたりから、「SDGsの広く多くの目標がある中で、カーボンニュートラルを目にする機会が増えたので、ちゃんと勉強しよう」と考えるようになり、見つけたのがカーボンニュートラルのカードゲームでした。

  • カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、これまでの様々な活動が地球環境に与えている影響を俯瞰して、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるシミュレーションゲームです。

    カードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、これまでの様々な活動が地球環境に与えている影響を俯瞰して、私たちの価値観や考え方に気づき、行動変容に働きかけるシミュレーションゲームです。

  • 私たちのさまざまな活動が、地球環境にどのような影響を与えるのか。多くの気づきや学びを得られるゲームです。

    私たちのさまざまな活動が、地球環境にどのような影響を与えるのか。多くの気づきや学びを得られるゲームです。

川田さんは早速、カードゲーム体験会の開催を企画。開催地を富谷でと考え、富谷市産業交流プラザ「とみぷら」を会場に、19名の参加者で実施しました。宮城では初開催だったそうです。
カードゲーム体験会では参加者が住宅メーカーや電力会社など、さまざまな業界ごとにグループに分かれます。そしてカードに、その業界の企業などがカーボンニュートラルに取り組む事業と、それを実現するために必要な費用が記載されているので、それを実施しながらカーボンオフセットしていきます。
川田さんは「ゼロカーボンの仕組みを体系的、俯瞰的に学べるので、カーボンニュートラルとは何かを自分の頭の中で整理できる」と効果を実感したそうです。

  • 事業を進めてカーボンオフセットすると、化石燃料や温室効果ガス、森林などにある赤いマグネットが、排出量や吸収量が増減して移動していく。

    事業を進めてカーボンオフセットすると、化石燃料や温室効果ガス、森林などにある赤いマグネットが、排出量や吸収量が増減して移動していく。

  • ゲーム内での行動に応じて、カーボンの増減を確認できるとともに、「私たちに何ができるのか」を考えるきっかけを促すことにつながる。

    ゲーム内での行動に応じて、カーボンの増減を確認できるとともに、「私たちに何ができるのか」を考えるきっかけを促すことにつながる。

2023年はライセンスを取得して、自分でもセミナーを企画開催していくそうです。また「将来は富谷版のカードゲームを開発してみたい」とも。ゼロカーボンは自治体ごとに違ってくるので、「市民主体で市民にできることを考えるワークショップを何回もやって、それをカード化できたら」と意気込みます。「富谷に住む一人ひとりが行動するようになったら、すごい力になる」と、川田さんはそんな未来に向かって、パワフルに活動を続けています。