ゼロカーボン達成の鍵を握る森林を守るには知識よりもまずは自分の目で、肌で感じることから

NPO法人SCR

村上 幸枝 代表

富谷市では、毎年「山の日」の恒例行事となっている、NPO法人SCR主催の「山のがっこう」が今年も8月11日に開催されました。会場となった大亀山森林公園には25組50名の親子・ペアが参加。普段は見ることのできない林業の現場を間近に見学し、地域の森林や自然の大切さを学ぶこのイベントを毎年楽しみにしている人も多いのだとか。「山のがっこう」では、木の枝を切り落とす「枝払い」、間伐材を活用した「木工体験」などといった、盛りだくさんのイベントを体感できます。自らもチェーンソーを操り、仲間たちと地域の木育活動に力を注ぐ村上幸枝代表からお話を伺いました。

「まずはやってみっぺし!」が合言葉
地域を想う女性たちが立ち上げたSCR

「地域のために何かをしたい!」2012年5月、そんな想いを持った女性15人が集まり、設立したのがNPO法人SCRです。
当初は試行錯誤の連続でしたが、行動力のあるメンバーの「まずはやってみっぺし!」を合言葉に、富谷の歴史が書かれてある本を調べたり、自然を学びに森林組合を訪ねたりするなど、積極的に地域を知る活動を続けました。そんな中、森林組合からの「山に入って間伐を体験しませんか?」という誘いをきっかけに間伐を体験。その達成感に魅了され、地域の自然環境への意識が高まり、現在の活動の柱のひとつである「自然再生活動」へと繋がっていきました。

  • SCRのチーム「木女」が自ら伐採を披露しました。中央が村上代表。

    SCRのチーム「木女」が自ら伐採を披露しました。中央が村上代表。

伐って・使って・植えて・育てる
森林の循環維持はゼロカーボン達成に必要不可欠

富谷市の民有林面積は約2,067ha。そのうち人工林の面積は約684ha(※)。森林は、木材など林産物の供給や水資源の涵養機能、災害の防止など、私たちの暮らしになくてはならない存在です。さらに近年は、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素を吸収する森林の働きが重要視されています。
特に、若い木は成長過程で多くの二酸化炭素を吸収し、製品となっても長期間、内部貯留することから「伐って・使って・植えて・育てる」の循環維持が重要になっています。NPO法人SCRでは、黒川森林組合と連携し、大亀山森林公園での間伐や下草刈り、清掃などの活動を精力的に続けています。

※富谷森林整備計画書より

  • 倒した杉の枝払いに挑戦中の子どもたち。

    倒した杉の枝払いに挑戦中の子どもたち。

  • 杉木立の中で、木の上に乗って記念撮影!

    杉木立の中で、木の上に乗って記念撮影!

自分の目で、肌で感じて
自然の大切さに気づいて欲しい

さらに多くの人たち、特に次世代を担う子どもたちに、地域の大切な森林や自然に興味を持ってもらうための「木育」にも力を入れており、「山のがっこう」もその一環として毎年行われています。
今年のイベントでは、実際に村上代表がチェーンソーで切り倒しを実践。子どもたちも枝払いを体験しました。木工体験では間伐材を活用したプランターを製作。スイカ割りや餅まきなどもあって、知って、遊んで、学ぶ貴重な機会となっていました。
「まずは自分の目で、肌で感じることが大切。木を切るのを間近に見て、音や匂いを感じてはじめて心に残るものがあると思います。『自然っていいな』『富谷の森を大切にしたい』と思ってくれたら嬉しいですね」と村上代表。
「山のがっこう」は今年で6回目。回を重ね、参加経験のある子どもたちの数は増えています。それとともに地域の自然を大切に想う心も確実に広がっていることでしょう。

  • 間伐材を使ったプランターづくり。おっかなびっくりながらの工具もだんだん面白くなってきたようです。

    間伐材を使ったプランターづくり。おっかなびっくりながらの工具もだんだん面白くなってきたようです。